「男性陣、調子はどうなんだ?」
先日、アラフェスの無観客開催が発表された。
活動休止前最後のコンサートがこういう形になってしまうのは残念でもあるけど、でも参加できる人と参加できない人という一生引きずる格差が生まれるよりはみんな平等に見られるこの形が一番平和なのかもしれない。
そんなことを考えていた私はふと、櫻井くんのあの言葉を思い出した。
嵐さんのコンサートに行ったor見たことがある人なら1回は聞いたことがあるだろうこのお決まりのセリフ。
僕の人生において、もっとも至福の時間とも言える嵐さんのコンサート。でもこの言葉が出るときだけ、少しだけモヤモヤしてしまっていた自分がいた。
これはたぶん超超超少数派な意見だと思う。別にこうしてほしいとかそういうことがあるわけでもなく、でも、もはや色々あの言葉に感じていたことがあったのもひとつの思い出だと思ってここに書いてみることにする。
男性ファンって実際どうなんだ?
僕が嵐さんを好きになったのは2006年の年末。Mステで「きっと大丈夫」を見たのがきっかけだった。当時、小学生だった僕はなぜか嵐に猛烈に惹かれた。
別に家族のだれかが好きだったわけでもなく、クラスメイトや友達にファンの子がいたとかそういうわけでもない。でもなぜか激ハマりした。
近所のTSUTAYAで過去のアルバムを“借り”漁り(正確には父親に借りてきてもらい)、嵐の宿題くんとGRA(当時、「バニラ気分」という番組の枠で放送されていたことが分からず、そんな番組やってないじゃん???と不思議に思ったことを思い出す…)を毎週録画して何度も見た。
ここまでは「歌が好きだから」、「バラエティ番組が面白いから」という男性ファンがよく言うジャニーズが好きな理由1位、2位に当てはまる範囲のファンだったけど、そこでとどまることなく、さらにそこから一段上のステージに足を踏み入れていく。
そう、雑誌。
当時は携帯電話なんか持っておらず、パソコンだってほとんど触ったことがなく、電源をつけるボタンの位置だけは知っているくらいだった。
それでも嵐への探求心はとどまることを知らず、おぼつかない操作で「嵐 情報」みたいなシンプルすぎるワードで検索したりしていた。(というかそのときはジャニーズ全般が好きになっていて、特に関ジャニ∞やNEWSにも手を広げていたように思う。)
そして僕はある日、ヤホーでジャニーズが毎月めちゃくちゃ載っている神の(紙の)雑誌を発見してしまう。
通称ドル誌。
アイドル雑誌の略で、ジャニーズはデビューしているグループはもちろん、Jr.まで載っている。Duetをはじめ、ポポロ、Myojo、Wink upなんかがこのドル誌に含まれる。
はじめて買った雑誌の中身は今でも鮮明に覚えてるし、なんなら実家の本棚の一番端っこにしまってある(はず)。
Duet 2007年 12月号
何年の何月号だったかまったく覚えてなかったけど、微かな記憶をたよりに探してみたらあっさり見つかった。
この中に載っている嵐ページの特に二宮くんがカッコよすぎて、自分のガラケーで写真撮ってそれを待ち受けにしてたほど。
それまで雑誌に手を出していなかったのにはある理由があった。
それはただ単純に本屋で買うのが恥ずかしかったから。
当時、思春期(?)だった僕にはジャニーズがいっぱい載ってる雑誌をレジまで持っていって会計をしてもらうという行為が耐えられなかったらしい。
だからしばらくは母親に頼んで買ってもらっていた。
一緒に本屋に行き、目当ての雑誌を見つけ、会計してきてもらう。
今となっては謎だけど、きっとどこかで男なのにジャニーズが好きなことを恥じていたんだと思う。
そして僕は野鳥の会へ
CD、テレビ番組、雑誌を経て、
僕は満を持して、ついに現場デビューをする。
2008年9月5日 国立競技場
ARASHI AROUND ASIA 2008 in TOKYO
初めてのコンサートは上手スタンド席の上から3列目。高すぎてもはや崖だった。
初めて見る生の嵐さんたちは豆粒どころか、点だった。でも輝いて見えた。LEDくらい。
もちろん僕は1人で行く勇気なんてなく、さほど興味のない母親を連れて行った。
傍から見たら、“嵐ファンのお母さんと無理やり連れて来られた息子”に見えるように。
でも嵐ファンとしての場数を踏んでいくにしたがって、そういう恥ずかしさもいつしか薄れていき、何のためらいもなく雑誌を買い、1人でジャニショにも行き、1人でコンサートに行くようになった。
今では嵐ファンであることに対して何の恥ずかしさもないが、一つだけずっと気になっていたことがある。それが冒頭に書いた、櫻井くんの言葉である。
詳しく説明すると、嵐のコンサートでは序盤の曲中で、5人それぞれがお客さんの温度感を確かめるようなお決まりの挨拶をするパートがある。
そこで櫻井くんはお客さんをいくつかの部類に分けて調子のほどを探ってくるのだ。
「上の方(スタンド席)調子はどうなんだ?」
「下の方(アリーナ席)調子はどうなんだ?」
そしてあの瞬間がやってくる。
「男性陣、調子はどうなんだ?」
たまに「野郎ども、調子はどうだ?」なんて聞き方をすることもある。
このとき何が起こるかというと、まわりの人たちが一斉に僕の方を向いてくる。何か言うんだろうなというちょっとした期待の目で。
ここで言っておきたいのが、コンサートに来てる男性が必ずしも「ウォ~~~」って盛り上がるタイプのファンではないということだ。
確かに彼女や奥さんが好きでその付き添い的な感じでコンサートに来てるような人(あとそんなにいないけど男性複数人で来てる人たち)はこういう人が多い。嵐さん的にも女性の「キャ~~~」な歓声にまぎれる「ウォ~~~」が聞こえると嬉しいという気持ちもすごく分かる。女性だけじゃなく老若男女楽しんでもらえてるなって実感できるんだろうし。
が、中には僕のように1人で、ひっそり楽しみ、心の中で「いや、今の大野智さんのターンなにあれ…? やばい… やばいぞ…」みたいに噛みしめていたいタイプもいる。(たぶん僕以外にもいるはず。いてほしい。)
でもせっかく櫻井くんが僕ら男性に聞いてくれてるのだからと、尋常ではない周りの目線ゆえの恥ずかしさをどうにか押しのけ、蚊の鳴くような声で「ぃぇーぃ…」とつぶやき、ペンライトを振る。
まわりの人の「あっ言わないんだ…」的な目を見ないようにして。
考えすぎかもしれないけど、このとき僕は櫻井くんにも、まわりの人にもなんだかちょっぴり申し訳ない気持ちになってしまう。絶対、考えすぎだけど。
でもやっぱり、あの場で声を出すことはできそうにないので最終的に行き着いたのが、「ひたすら防振双眼鏡で見続けるファンになる」ということ。
あれです、野鳥の会って言われてるやつです。双眼鏡でひたすら見てれば、「調子はどうだ?」に反応しなくても、ぎり許されるかなって。(誰に?)
まあ、大野君のダンスをしっかり見たいという僕のスタンスに合っていたのでそれが理由ってわけではないんですけどね。
(防振双眼鏡の凄さについてはまた、改めてブログに書きたい。)
でも、もう、しばらくその櫻井くんの「男性陣、調子はどうなんだ?」を生で聞けないんだと思うと少し寂しい気もしてきて、やっぱり素直になっておけば良かったなとちょっとした後悔の念を抱いたりしてます。
今度のアラフェスはオンライン配信なので、もし、その例の言葉があったら思う存分声を出そうと思う。
そんなことを考えたシルバーウィークでした…
と長々語ってしまいましたが、男性で良かったなと思うことがないわけではありません。
最後は、「男性ジャニーズファンで良かったことあるある」で締めようと思います。
“会場のトイレが空いてる”
以上です。